いくつかの市で乳幼児健診を担当させてもらっています。健診にあたっては、保護者の方が事前に問診票を記載して持参されます。問診票も市によってさまざまで、4か月健診では授乳中のスマホ使用について訊ねる項目があったりします。
『授乳中にスマホを見ますか?』選択肢は『見ない・時々・いつも』
赤ちゃんは生まれてすぐに世界を探索し始めます。まだまだ未熟ながら全身でこの世界を知ろうとします。赤ちゃんの目はまだ未完成でぼんやりとしか見えていませんが、赤ちゃんが特に注目しやすいものがあります。●や■などが上に2つと下に1つ配置されたもの、白と黒のコントラストがはっきりしているもの、動くものなどです。つまり赤ちゃんは顔((^_^)目が2つと口が1つ)や目(白目と黒目のコントラスト)や口元(よく動く)に注目しやすいのです。それに、授乳している人と赤ちゃんの顔の距離感は、赤ちゃんの目がものを捉えやすい距離になっています。
子どもと保育者の様子を観察していると、生後2-3カ月には1時間に18~20回も見つめ合うそうです。約3分に1回の頻度です。見つめ合うことは相互的なコミュニケーションの土台となります。スマホを見ていて、赤ちゃんからの熱烈ラブ♡視線に気付かないのは、もったいないな~と感じます。
以前7歳の女の子が「スマホになりたい」と言った、という話を聞きました。理由は「ママがいつも見てるから」。
スマホは魅惑的ですが、時々刻々、日に日に変化していく「子どもの今」も魅力的だと思いますよ。
ピアノを習い始めました。
10年ほど弾かれていなかったピアノを譲り受け、調律をしてもらいました。「とにかく弾いてあげて下さい」と調律師さん。せっかくなのでピアノ教室に通うことにしました。ピアノは全くのド素人です。初回のレッスンでは手の形や置き方、指の動かし方、椅子の座り方など、イロハのイから教えてもらいます。
「指は真っすぐ伸ばすのではなく、軽く曲げて。」
「指の腹ではなく、指の先端で。」
「指を持ち上げる時は、足で腿上げをするようなイメージで。」
「椅子は浅く腰かけて、いつでも立ち上がれる感じで。」
ふむふむ、なるほどと思いながら、先生の指示に従い、教本に沿って指を動かします。
楽譜の上下には数字が振られています。上の数字は右手で、下の数字は左手。番号は右手も左手も親指が1、人差し指が2、中指が3、薬指が4、小指が5です。両方の掌を下にして並べると、内から外へと1から5です。
ピアノの鍵盤に指を置くと、右手は親指がド、左手は小指がド。数字は右手の親指は1、左手の小指は5。ドレミファソは右手が1、2、3、4、5で、左手は5、4、3、2、1。音符、上の数字、下の数字、右手の動き、左手の動き、混乱が生じます。
あ、間違えた。あっ、また間違えた。
右利きの私の左手は、ぎこちなく動いています。
「まず右手で弾いて」「次に左手で弾いて」「次は両手で弾いて」
「これはまず左手で弾いて」「次に右手で弾いて」「次は両手で弾いて」
「今度は最初から両手で弾いてみて」
混乱、混乱。
拙すぎるピアノを弾きながら、子ども達の体の使い方が頭をよぎります。体の中枢から末梢へと、分離した動きを獲得していく過程を思い出します。子どもが新しい動きを経験していくように、私もこれまでやったことのない動きを経験中です。子どもが脳内に新しい神経回路を作っていくように、私の頭の中でも新たな回路が作られつつあります。2回目のレッスンに向けて、新たな回路が開かれるイメージをしつつ指を動かす日々です。あっ、また間違えた。
皆さんも新しいチャレンジいかがですか?