「チャイムが鳴った時に、座れている気がしない」
発達相談でお母さんが言います。
「顔を洗ってから、着替えをして」
日常生活で指示を出すと、1つやって、もう1つは忘れている。
1つやろうとして移動して、途中で他のことに気を取られて、1つめすらも、すっかり忘れている。
やりたくないから、やっていないだけなのか?
あるいは、本当に忘れているのか?
一体どっち?
「何故やってないの!?」
強い口調で聞いたら、アッ!という表情。
・・・本当に忘れていたんだ。
かと思えば、興味のあること、好きなことに関しては別人のよう。
やったことのないこと、新しいことを説明される。
工程が3つ、5つとあっても、興味さえあればスパッと理解して、1つも取りこぼさずに完遂する。
一緒に来られた園の先生が、感心したようにお話しされた。
でも、とお母さんと先生。
忘れ物が・・・、気の散りやすさが・・・。
このままでは就学した後が心配でたまらない。
授業の始まりに着席しているだろうか?
忘れ物ばかりするのではないか?
就学までに何とかしないと。何とかなるのか?
目標設定が早すぎます。
興味関心があることだと、しっかり覚えていられるのだから短期記憶は悪くない。
興味関心のムラが問題かな。
興味がないことや、やりたくないことでも、やらなきゃいけないんだって知っていくこと。
そして、やれるようになっていくこと。
そのためにどうしたらいいか?
言ったら出来るのだから、どうぞ声を掛けてあげて下さい。
今は、まだひとりで出来ない。
だから出来るように、出来る方法でサポートを。
「怒るのは意味がないんでしょうか?」
意味ないですね。エネルギーの無駄遣い。疲れるだけ。
独り立ちするまでには、出来るようになればいい。
「そんな先でいいんですか?!」
お母さんは拍子抜けしたよう。
出来ないことが、どうしたら出来るようになるか?
あの手この手、試行錯誤の連続です。
「だいぶ気が楽になりました」
笑いながらお母さんが言います。
ご苦労様です。
微力ながらお手伝いさせて頂きます。
松江を歩いた。
日曜の早朝、家を出る。
松江で開催された
養老孟司先生の講演会に
参加するために。
松江まで車で行くという選択肢もあったが、
今回はそうしなかった。
そうしないために早朝に出たのだった。
日曜日の早い朝の道は空いていた。
出雲に着く。
よかった、間に合う。
7時40分発の列車に乗るために出雲市駅へ。
列車の案内表示を確認する。
おや?
7時51分、米子行きとある。
おかしいな、
私の事前調べでは7時40分発、
9時11分松江着だったのだが。
駅員さんに尋ねる。
7時51分発は何時に松江に着きますか?
えーと、ちょっとお待ち下さいね。
51分発・・・松江は8時34分ですね。
ありがとうございます。
講演会は10時から。
1時間半も前に着くことになる。
次の列車は?
・・・うん、これに乗ったら間に合わない。
そのまま7時51分発に乗ることにした。
列車での移動はいい。
手も足も自由な時間。
車内はゆったりしている。
溜めていたメールを読み、返信する。
あとは、ぼーっと外を眺めた。
山の緑、
田んぼの緑、
家々、
時折湖。
8時34分松江着。
講演会場に直接向かうには早い。
少しブラブラする。
知人がお勧めしてくれた神社まで歩いた。
途中の道で、
随分と前に連れて来てもらった
コーヒー屋さんがあることに気付く。
ピスタチオのシュークリームの
記憶がよみがえる。
神社は静かだった。
ひとり、女性が本殿の前で手を合わせている。
手水を使い、本殿へと向かう。
お賽銭を投げいれ、二礼二拍手一拝。
境内をクルリと回ってから外へ出た。
まだまだ時間はあるが、もう向かおうか。
ブラブラと歩いた。
歩道があって歩きやすい。
何となく風情のある町並み、
小さな水音を立てる小さな川。
ブラブラブラブラ。
こっちで合っているのだろうか?
何となく違う気がしてきた。
前からやって来たスポーツウェアの女性に尋ねる。
すみません、湖はあっちですか?
女性はしばし考えて、
180度逆の方向を指さす。
あっちですね。
えっ?
見当違いの方向に歩いてた?
ありがとうございます。
あと、35分。
間に合うか?
ともかく一旦駅前に戻ろう。
せっせと歩いて松江駅へ。
あと25分。
事前調べでは駅から会場までは徒歩23分。
もう歩いてでは間に合わない。
バスは約12分だったはず。
バス停に向かうが、
はて?何番のバスだったっけ?
セカセカと観光案内所へ。
2番か3番のバスだと教えてもらう。
残り15分。
2番のバス、
は、1分前に出たところだった。
次のバスは10時。
事前調べではタクシーは約7分だった。
もうタクシーしか手段がない。
自分一人なら遅れたって構わないが、
知人と待ち合わせしている。
チケットは私の手元。
タクシー乗り場で待機していた、
タクシーに乗り込んだ。
行き先を告げ、
タクシーが走り出す。
駅前を離れ、右へ左へと曲がる。
ここはさっき歩いた道。
さっき渡った橋。
うんうん、ここまで歩いた。
四つ角でタクシーは
私が選んだ道と真逆の道へと曲がった。
会場前には開演5分前に到着した。
ちょうど知人とバッタリ出くわした。
一緒に会場内に入る。
養老先生の縦横無尽のお話は面白かった。
間に合ってよかった。
15,799歩。
うん、歩くために
わざわざ列車で行った甲斐があった。