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2026.04.11 - 8:26 PM お知らせ

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4月13日(月)は診察をお休みします。

Yunotsu Kodomo Note

2026.04.12
出雲の本屋

出雲にお気に入りの本屋がある。

仕事で出雲に行った時には、たいてい寄る。

ショッピングセンターの駐車場に車を停めて、

てくてくと歩いていく。

本屋の前にも2台分の駐車場はあるのだが、

歩くためにわざと少し遠くに停めて歩いていく。

駐車がそれほど得意ではない

という理由もあるし、

駐車場が空いていなかったらまごつくから

という理由もある。

ともかく本屋まで歩いていく。

商店街を抜けてみたり、

飲み屋街を通ってみたり、

フラっと路地に入ってみたり。

この店は一体何の店なのだろう?

この中華は営業しているのだろうか?

この駐車場は安いな。

こんなところに酒蔵が。

歩きながらキョロキョロしている。

きっと旅行者だと思われるに違いない。

出雲に住んではいないので、

旅行者と言ってもまぁよいか。

本屋が近付いて来る。

少し緊張する。

今日は開いているだろうか?

開店日時を確認せず、

毎回とりあえず行ってみるので、

時々空振りする。

あっ、カーテンが引かれている。

openの黒板がない。

あぁ残念、閉まっていたか。

仕方がない。

と、またてくてくと歩いて去る。

とはいえ、たいては開いている。

open

今日は14:00~21:00

と黒板に書かれている。

大きなガラスの引き戸を開けて、

こんにちはー、と声を掛ける。

あぁ、こんにちは、

と店主さんがカウンターの向こうから応じる。

顔馴染みとして認識してもらえるくらいには

通ったということだ。

ココア下さい。

ホットでいいですか?

ホットでいいです。

ここは本屋であり、ちょっとしたカフェでもある。

カウンターの前で鞄を下ろして籠に入れる。

手を洗わせて下さい。

どうぞ。

来てますよ。

と店主さんが奥の方へ視線を向けながら言った。

カウンターの前を通って奥へと向かう。

本棚の向こうのソファスペースで

知人がお茶を飲みながら本を読んでいた。

(この本屋を教えてくれたのはこの知人だ。)

洗面台で手を洗って戻る。

知人の視線は本に向かったまま。

身じろぎもしない。

店主さんはミルクパンに入った牛乳とココアを

カシャカシャカシャカシャと混ぜていた。

暫くしてカップ&ソーサーをトレイに乗せて、

店主さんがカウンターの向こうから出て来た。

どうぞ。

カウンターの上にホットココアを置いた。

ちっとも甘くない濃厚なホットココアを飲みながら、

店主さんと話をする。

オリーブオイルの話、

本の話、

醤油の話、

読書会の話。

知人がやって来た。

あぁ全然気付かなかった。

笑いながら言う。

目が痛い。

よほど集中していたのだろう。

目をこすっている。

その後伸びをした。

知り合いが事務所を畳むことになったんですよ。

要るものあったらあげるよ、

と言われたんで見に行って本棚貰いました。

ダサいんだけど、まぁいいかって。

でかい本棚5つ。

でかいって、どのくらい?

あの扉、の幅くらい、かな。

高さはあそこまでないけど。

入り口の扉を視線で示す。

入り口のガラス扉はかなり大きい。

(なのでそれなりに重い。)

あの幅の本棚が、しかも5つ。

これで本が収められる。

積ん読がようやく片付く。

あはは、と笑う。

かなり大きいよね?

まぁそうですね。

そんなに本があるんですか?

あるんですよ。

床一面に広がる本の山を想像する。

あの幅の本棚5つ分の本。

あの幅の本棚5つが入る部屋。

部屋の床が抜けてしまわないだろうか?

と余計な心配をする。

知人と店主さんが話し始めた。

椅子から降りて本棚を見て回る。

この本屋は全体的な空間は広いのだが、

本の冊数は多くはない。

入ってすぐが本のコーナー。

左手がカフェカウンター。

本棚の奥にソファとローテーブル。

一番奥に畳の小上がりがある。

そんなに大きくもなく、

それほど冊数があるでもない、

本のコーナーには

実に魅力的な本が揃っている。

文庫本、単行本、新書、写真集、図譜、絵本、

文学書、エッセイ集、ハウツー本、紀行文、

建築学、哲学、心理学、社会学、天文学、etc.

本の装丁とタイトルを眺めていく。

あぁ、この本はまだある。

買う訳じゃないけど、

高くて手が出ないけど、

あってホッとしている。

あっ、あれはもうない!

いずれ買うつもりだったが、

まだ買っていなかった本。

あぁっ!あれもない?

それもいずれ買うつもりだったが、

まだ買っていなかった本・・・。

すみません、

あそこにあったあの本は、

もう売れてしまった?

睡眠の。

まだあるはずですよ。

カウンターの向こうから出て来て

スッと本棚へと向かい、本を手に取った。

あぁ、これこれ。

今日買っておこう。

これ買います。

ありがとうございます。

再び本棚を巡る。

本の装丁とタイトル。

一冊手に取る。

表紙と帯。

ページをめくって、目次。

一気に後ろへとページを繰って、筆者を確認。

前に戻って『はじめに』を読み始める。

もう一度目次を見て、気になるページを開く。

読みたい、けど欲しいわけじゃない。

読んでみたいだけ。

家には十分本がある。

それに、これからも買いたくなる本に

まだまだ出合うだろう。

この本は欲しいわけでは無い。

ただ読んでみたいだけ。

500円で読む権利を買う

というのはどうだろう?

商品だからダメか?

かといって欲しいってわけでは

無いんだよな。

でも読んでみたいんだよ。

魅力的な本屋でグルグルと

答えの出ない一人問答が続く。

あわい堂

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