「ホームページにプロフィールがないのは、いかがなものか。あった方がいい。」
「どんな人か分からないと、クリニックに行ってみようと思わない。」
「ホームページを読むと、この先生に怒られそうって思う人がいそう。」
「あなたの考えよりも、利用する人がどう思うかが大事。」
・・・などなど、知人、友人、後輩から、温かくも耳の痛い指摘を受けました。
ということで、今回ここで改めて自己紹介をしてみます。
大阪府出身です。自覚はないですが、どうやら大阪弁で話しているようです。
発達相談に来た子どもに「関西弁の人」と言われました。自分では標準語で話しているつもりだったので、驚きました。
両親は府外出身で、生粋の大阪人とは程遠く、吉本新喜劇を見る習慣のない家に生まれました。
団地住まいだったので、日本各地から来た大人達の様々な言葉の中で育ち、大学は徳島だったので、これまた日本各地から来た同級生達の様々なイントネーションにさらされ、知らぬ間に関西弁以外の言葉がチャンポンで私の中に取り込まれています。
関西の人から「どこの出身?」と聞かれたこともありますが、島根県では私の言葉は関西弁なようです。
言葉のことはさておいて、徳島大学卒業後は大阪府と兵庫県の公立病院で小児科医として働いてきました。
公立病院では、外来診療、入院診療、救急外来、NICUなど、一般的な小児科診療に従事。
その後、縁あって療育施設に勤務することになり、子どもの発達について経験豊富な諸先生方、優秀なセラピストの方々、たくさんの子ども達に学ばせてもらいました。
コロナでまだまだ世間が落ち着かなかった2021年の春、初めて温泉津を訪れました。
温泉津の町と人の雰囲気に惹かれて、足しげく通った末の2023年、ついに温泉津に住むことに。
島根県下の各市町で乳幼児健診や発達相談の仕事を頂いて働き始め、これらは現在も続けさせてもらっています。(なのでクリニックが開いている曜日と時間帯が偏っています。)
そして2024年11月に、ひょんなことから温泉津の寺町にクリニックを開業しました。
現在も月末は大阪で仕事をしており、毎月行ったり来たりしています。(なので、第4、第5週はお休みしています。)
ここでQ&A よく聞かれる質問に答えてみました。
Q1.温泉津に来たきっかけは何ですか?
たまたま元湯温泉を紹介した新聞記事を読んだことがきっかけです。
Q2.なぜ温泉津駅前ではなく、寺町にオープンしたのですか?
先に場所と建物がやって来たからです。
Q3.なぜ大人は診ないのですか?お年寄りの方が多いのに。
小児科以外の診療トレーニングを積んでいないからです。
もし他にも聞きたいことがありましたら、ご質問をお寄せ下さいね。
以上、改めましての自己紹介でした。
Iさん、Yさん、他の皆さま、ご指摘ありがとうございました。こちらのプロフィールいかがでしょうか?
今回は、言語外の領域で考える、ということについて書いてみます。
人は、考える時に脳内で膨大な量の情報を処理しているけれど、言葉に出来るのはそのうちのほんのわずかな部分でしかないと聞きました。
へえ、そうなのかと思っていたところ、確かに人は言葉以外の領域で沢山のことを考えていると実感したエピソードに遭遇しました。
乳児さんが離乳食を食べる時の口と舌の動きを確認したくて、保育園を訪ねた際に0歳児の部屋でお昼ごはんの様子を見学させてもらいました。
10カ月の子が嬉しそうに、ご機嫌でお昼ごはんを食べています。
保育士の先生が、ごはんやおかずをスプーンに掬って口元へと運ぶと、口を開けて待ち構えています。パクリとスプーンをくわえて、上手に口の中に取り込みます。もっとちょうだい、あれがたべたい、と仕草や声でアピールします。
私も食べさせてみようと、保育士の先生に代わってもらい、スプーンで掬ってごはんを口元へと運びました。
私がスプーンを持った時点で怪訝な顔をします。絶賛、人見知りの時期です。当然でしょう。
とはいえ、怪訝な顔をしながらも口元に運ばれたスプーンに向かって口を開け、体を乗り出しました。
が、ピタッと動きが止まりました。口を開けたまましばらく躊躇したあと、口を閉じて体を引いてしまいました。スプーンを近付けても、もう口を開けてくれません。しまいにはプイっと横を向いてしまいました。
この間、この子の頭の中では色んな思いや考えが行き交ったはずです。
言葉にしてみるとこんな感じでしょうか?
ごはんおいし~♪
えっ?なに?このひとがたべさせるの?
え?だれ?なんで?だいじょうぶ?え?え?
あ、ごはんきた。
あ~、、、(ん)ちょっと、いやかも?
う~ん、なんかいやなきもち、、、。
どうしよう?ごはん、たべたいけど、、、。
やっぱりむり!たべたくない。
いやだ、たべないっ!
ぷいっ。
分かる言葉が徐々に増えてきているとはいえ(「まんま」「バイバイ」「ちょうだい」などに反応してくれます)、上述のような言葉は恐らくまだ身に付いていないだろうと思います。
けれど、この子が「考えていた」ことは間違いないでしょう。言葉にならない領域で目まぐるしく考え、結果として行動を決めたはずです。(食べたい、けど、食べたくない!プイッ)
確かに言葉にならない領域で、膨大な量の情報が行き交っている、と実感させてもらったエピソードでした。
子どもの発達過程は本当に興味が尽きませんね。